なんにもしないと、なんにも出てこないよ。

何気ないアドバイスのようでいて、これってなかなか残酷な物言いだ。
「なんにもしないと、なんにも出てこないよ」なんて。

そんなの、もちろん知っている。ボクが今、なんにもしていないのは、したくないんじゃなくて……できないんだ。

したくないわけじゃないのに、なんでボクにはできないんだろう。
ボクは怠け者だから？
ボクには才能がないから？
ボクはそれが好きじゃないから？

確かにボクは怠け者。いやいや、もっと詳しくいうと。ボクの中に住んでいる「ナマケモノ」が、うまいことボクを操り出す。ボクはこいつに負けたくないのに、こいつはボクの弱点をよく知っている。だけど、こいつに負けたくない。なんとかしようと抗っている。

ボクに才能があるのかないのか。今はまだ、わかんない。だって、まだやり切ってないんだから。でも、もしも。ボクが全力を出し切って、気が済むまでチャレンジして。たっぷり時間もかけたのに、才能がないって気づいたら。そしたらボクは、どうしたらいいんだろう。

ボクは確かにそれが大好きで、だから始めてみたんだし、これからもずっとやってたい。だけど、最初の頃ほどの、情熱はもうなくなってしまったの？　いやいや、そんなことはない。たまに自信もなくすけど、ボクにはこれしかないんだから。

でもさ、始めたばっかの頃よりも、いまは色々分かっているはずなのに。なぜだかいろいろ考える。なぜだかいまいち、自信がない。

それはきっと、ボク達が成長したからだ。こんなに色々考えるなんて。考えることがあるなんて。初めの頃は、そんなことさえ考えられなかった。

とはいえ、なかなかしんどいなあ。。

だけど、よおく思い出して。
もし、キミにとって大切な、大事な、捨てがたいことなのなら。まあ、続けてみるのもわるくない。

心の中の「ナマケモノ」は別にして。いやいや、そいつも含めよう。
たまには休憩も必要だ。

どうにかしようと、もがいもがいて。逃げても楽にはならなくて。ふっとした拍子に一気に進んで。やっぱり戻って、悩んだりして。

うまくいったり、いかなかったり。

だからボクは、簡単には言わないんだ。「なんにもしないと、なんにも出てこないよ」なんて。だってさあ。キミだってボクだって、自分なりにがんばってるんだから。

でもね、だからって。言わなければ、言われなければ。きっと甘えてしまうから。だから、自分も傷つく覚悟で。言うんだ。キミに向けて。ボクに向けて。

「たまにはさ、ナマケモノと遊ぶのもいいけれど。でもね。なんにもしないと、なんにも出てこないよ」って。

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